ある日の作業場の風景。
ベテラン大工さんと若手大工さんが木材への墨付け作業を行っていました。
墨付けとは、建物として組み立てる木材を加工するための目印をつけることです。
サイズを測りながら墨汁で印を付けていき、この目印に合わせて木材を加工(刻みと言います)していきます。
機械を使い加工するプレカット加工が主流となっている中でも、
柔軟な対応のできる人の手を使った加工方法はとても重要で大切な技術です。
『さしがね』という定規を使って長さを出し、墨で印を付けていきます。
さらに設計図に合わせ、どこの柱になるのか、“いろはにほへと〜”の番号を付けていきます。
調べてみたところ、『さしがね』は1000年も前に聖徳太子が中国から持ち込み、大工に広めたと言われているそうです。
また、“いろはにほへと〜”を番号代わりに使うことも、あいうえおが主流になる前から使われ続けてきたためなんだとか。
聖徳太子…すごい。建築の歴史の長さを物語っているエピソードでした。
途方もなく永い間、人から人へ、道具と技術が受け継がれてきたんだと思うと、改めて感心するばかりです。
その技術が受け継がれていく一端が垣間見える空間でした。